教会だより

如是我聞 -ボクの仏教学習ノート③-「諸行無常」

「如是我聞(にょぜがもん)」という言葉があります。仏教のお経の書き出しの言葉です。「かくのごとく私は聞きました」という意味で、仏教が口伝で伝えられてきた名残なのでしょう。仏教に興味を持ったボクは、ボクが仏教の師匠と仰ぐクボタさんから、お釈迦さまが直接説かれたという「根本仏教」のお話を聞いて、聞きかじったことをここに記して行きたいと思います。

第三話 全ての存在は変化し続ける(諸行無常)

現象世界の三大真理

ここまでのおさらいをしてみましょう。

  • 仏道修行の目的は「本当の幸せ」を得るため。でも、仏道修行とは関係なくても、すべての人は「幸せ」になりたくてしゃかりきになっているが、なかなか幸せになれない。
  • なぜならば、普通の人の心は「幸せ」を感じられない構造をしている。
  • いつでも「幸せ」を感じられる心の構造をつくるためには、この世のすべてのなりたち(真理)を理解することが必要
  • お釈迦さまが悟られた法(真理)とは、以下の3点に集約される
    • すべての現象(存在)が備えている「性質」
    • すべての現象(存在)に当てはまる「法則」
    • すべての現象(存在)に対する「問題解決法」

クボタさんは、ボクたち、普通の人々が「幸せ」を求めてしゃかりきになって、何を求めているのかと言うと「現世利益」だと言います。「物」とか「お金」とか、「地位」とか「名誉」とか、「パートナー」とか「子供」とか、これを得ることで自分の利益になる、目に見える「もの」や「こと」を求めているのです。お釈迦さまは「求めて得たものは、また失う」とおっしゃっています。

これ、ちょっと考えればその通りだとわかります。しゃかりきになって求めて、手に入れて喜び、いずれ失って悲しみ嘆く、という繰り返しを延々とやっていることに気づきます。

ボクたちがしゃかりきになって求める「もの」や「こと」、すなわち現象=存在、目に見えるもの、目に見えないものも含めて存在しているものに当てはまる「性質」とは何なのでしょうか?その「性質」を理解すれば、得ては喜び、失って嘆くという連鎖から逃れられるに違いありません。

お釈迦さまは、すべての現象(存在)が備えている性質を「現象世界の三大真理」として教えてくれています。

「三大真理」とは
①諸行無常:すべての存在は「変化」する
②一切皆苦:すべての存在は「苦」である
③諸法無我:すべての存在は単独で存在しているものはない

では初めに「諸行無常」から教えていただくことにしましょう。

全ての存在がどう変化するのかを理解し、いちいち驚くな!!

「諸行無常」と言えば真っ先に思い浮かぶのは「平家物語」ですね。
祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響きあり。
沙羅双樹の花の色、盛者必衰の理をあらはす。
遙か昔の話であれば、確かにその通りだと思いますが、今の自分が必衰と言われたら心穏やかには過ごせません。

閑話休題、「諸行無常」の教えはとてもシンプルです。誰もが理解できます。「もろもろの(全ての)存在は常ではない」つまり「変化する」という意味です。

当たり前だよね、と思っていると、クボタさんは、その変化とは「生・住・異・滅」の一方通行だと続けます。

生=全ての存在は生じて、住=一定期間存在し、異=何らかの兆しが現れて、滅=消滅するのだそうです。さらに、消滅と同時に新たな存在が生じます。このような変化がいたるところで起きているのが現象世界というわけです。ボクたちは生じたものがずっと続くと思ってしまい、一喜一憂しているわけですが、その変化に惑わされず、そのときそのときを味わっていくという姿勢が大切です。

変化は一方通行で起こる、という法則ですが、例えば恋愛関係にある二人の内一人が心変わりした場合、心変わりされた方は、「全てのものは変化するのだからもう一度自分への愛情が戻ってくる」と考え、そのために再度アプローチする、なんていうことはよくある事ですが、一方通行の変化であれば戻ることは無いわけですね。すでに自分への愛情は消滅してしまっているので実際には無駄な抵抗というわけです。仮に復縁に成功したとしても、それはその前の状態に戻ったわけでは無く、新しい関係が生じたと考えるべきなんですね。このこと、若い内に知っておくべきでした。

クボタさんは続けます。この変化というのは波のようなもので、ボクたちには4つの波の繰り返しに翻弄されています。

4つの波とは…
①「名誉↔不名誉」の波
②「非難↔賞賛」の波
③「損↔得」の波
④「苦↔楽」の波

一つが「名誉↔不名誉」の波、二つ目が「非難↔賞賛」の波、三つ目が「損↔得」の波、四つ目が「苦↔楽」の波。不真面目に生きていれば、非難されたり、損したりといいうのは当たり前のように思いますが、真面目にやっていても非難されたり、損したりというのはよくあることです。また、歳をとるとあちこちが痛くなることがよくあり苦痛を感じますが、何もしなくても痛みが消えて楽になるなんていうこともよくあります。お釈迦さまは、このような変化は普通のことだから、いちいち驚く必要はありません。と教えてくださっているのです。

と言うわけで今回は諸行無常について教えていただきました。次回は一切皆苦について学んで行きたいと思いますのでお楽しみに…

最後にボクがクボタさんから聞いた内容のメモを添付しますので、興味がある方は参照してください。

川崎西支部 壮年部 大久保善尉

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